株の経験や知識を持つ人なら誰でも知っている単純なルールがあります。「高値で買うな、借金して買うな。」しかし、今、この2つのルールを同時に破って14兆円以上の株を買った人がいます。日銀の黒田さんです。

5回延期しても2%のインフレ目標に到達しなかった黒田さんはとうとう6回目の延期を発表しました。これはもし企業ならばもう3回目あたりから株主から退陣を要求されていたでしょう。または、こんないい加減な経営をすること自体を恥じ、株主に言われる前に自ら目標修正か辞任かの措置をとることになったはずです。

株価を国家が買い支え、インフレ率も国家が設定し、達成するまで貴重な税金と政策を投入し続ける経済体制は計画経済そのものであり、昔のソ連でもなかなか真似できません。この経済の極端な左寄りになぜ保守勢力が黙っているかが不思議なんです。

安倍政権は保守政権と言われています。確かに政治的には右寄りかもしれませんが、経済はまったくの左翼経済であり、極左と言っても過言ではありません。

我々経営者の多くはどちらかといえば、保守に近い考えを持っています。保守の一番の特徴は社会主義に反対し、市場経済の原理を尊重することです。政府の在り方についてもなるべく小さな政府を好むのです。

国による借金がGDPの2倍である1000兆円を上回りました。未だに国民の純資産や貯金を理由にこの借金を軽視する人が多いのですが、これはお金を持っている親戚から借りたお金を返さなくてもいいという発想です。

しかし、借金は借金です。本当に返さなくなると国家の信用は墜落し、国民が損するだけではなく、日本経済全体が取り返しのつかない信用危機に陥るのです。その結末が平気だと言うならば外国人の私は文句を言えませんが、単にお金を貸してくれた人たちがまだお金を持っていることを理由に借金を返さないと言うならばとんでもないことです。

確かに財政出動で経済の活性化を促し、その結果、財政収入が増えやがて財政悪化を食い止めるシナリオはあります。それならば日本経済の根底にある問題に着眼し、既得権益を打破し、構造改革を断行し、経済成長に投資するならば分かるのですが、日銀が国民から借金して買ったのは成長性のない日本の既得権益者である大手企業の株です。

成長力で言えば日本の大手企業は最も成長力の無い部類に属します。日経225を形成する銘柄をみれば分かるのです。時価総額トップ30社はここ30年の間にあまり変わっていません。東電に東芝にシャープにソニー、どうですか、これ以上に羅列する必要があるでしょうか。

フォーブスの企業ランキングでみると、世界トップ500に入った日本の大手企業は90年代の半分になりました。要は衰退のチャンピオンです。安倍政権の金融政策によって大手企業がキャッシュリッチになっているのになぜ彼らの株を国民からの借金でさらに買い上げなくてはならないのでしょうか。株式市場の基礎知識を持っていないのでしょうか。資金のニーズのないところになぜ無理やり借金してまで資金を突っ込むのでしょうか。

考えらえることはただ一つ、それは単に株を上げたいからです。もし株価(実は日経225の上昇ですが)を上昇させ経済好調を演出し、支持率の上昇につなげる下心があれば、これは国家による株価操作です。個人なら明確な犯罪です。

株価が高止まりの昨年から日銀は株の買い入れ速度を上げて一年で6兆円も投入したのです。借金して高く買う。もうわざと損するようなものです。これは何かの末期現象ではありませんか。

また「反日」宋さんの言いたがりと思うのは自由ですが、同じことを薄々考えている読者がいれば、しばらくは株を持たないことです。せめて自分を守りましょうよ。