良い経営者の共通点

二十代で創業して以来、そろそろ30年間が経ちました。経営者としてたいしたことはできませんでしたが、自分の経験を通じてすごい経営者達と友人としてつき合ってきたことがうれしいです。

書店には経営のノウハウ本は腐るほどあります。経営者の心構えを説教する本もたくさんあります。まあ、きれい事が嫌いな私は「お前は自分の説教通りにもう一度経営者をやってみろよ」と言いたくなるような説教本は目に余ります。

時代の背景に文化の背景に技術革新とマーケットの変遷。経営にはなかなか定説がありませんし、永遠不変な原理もありません。あるとすれば常に変化していることと、もう一つ経営者は良い人が多いことです。

十年、二十年前から付き合っていて、雑居ビルの一室から会社を始める時からよく知っている経営者はたくさんいます。大きな事業を成し遂げたり大きな企業の経営を任せられたりする友人には、脅威的な共通点があります。

彼らは皆良い人です。

ここの「良い人」とは女性が男性を振る時や悪口のコメントを避ける時によく使う「良い人なのですが・・・」の良い人と全然違います。

「ナイスガイ、グッドパーソン」の意味です。正直で人の面倒をよく見る。そして人に優しいのです。しかも人を見て変わるのではなく、ほぼ癖でやってしまうのです。

その中の一人は玉塚さんです。先日、彼を週刊文春の編集長の新谷さんに紹介しました。新谷さんは編集長でいわばまだ経営者になっていませんが、実際のお付き合いを通じて複雑な環境の中でも果敢にリスクを取り、決断を下す経営者に向いている人です。大手マスコミが堕落している中、文春がスクープを連発し、ジャーナリズムの旗を降ろさない原因は新谷さんのリーダーシップによるところが大きいと思います。当然、良い人です(ナイスガイ)。

類が友を呼ぶ。偶然な機会で私の紹介でお二人が知り合いになりました。またその直後に新谷さんが仕事を通じて取得した仕事術を紹介する本を刊行しました。すぐ読ませていただきましたが、「新谷さんはやっぱり本物だな」、「こんなノウハウを千円くらいで知れるとは」「経験を積んでいない若い人はどれほど凄さを分かるかな」などの感想を持ちました。

その時、新谷さんから「宋さん、玉塚さんからすごい感想をいただいた。初対面なのに感動した」とのメールをいただきました。好奇心に駆使されて私はすぐ玉塚さんから新谷さんに向けたその感想を送ってもらいました。

さすがです。本への感想はもちろんまったく同感ですが、なぜ私はこんなに優しく書いてあげられないか」と自己嫌悪に陥りました。以下は原文です:

新谷さん、本を贈って頂きありがとうございました!
早速“週刊文春編集長の仕事術”を読ませて頂きました。具体的な実話、実名が満載で実に面白くあっという間に読んでしまいました。
内容極めて濃く、新谷さんの仕事に対する考え方、週刊文春の強さの理由が良く理解出来る素晴らしい本だと思いました。
また、書かれている内容について経営者、リーダーとして共感するところ多々あり感銘を受けました。
特に、私自身が強く感じた点をいくつか共有させて頂きます。

1.スピード
走りながらやる。とにかく思ったことは実行する。出来る人間はすぐやる。私も常々社内で、デフレや震災等外部環境は自らコントロール出来ないが、自組織のスピードだけは自分達次第でいくらでも変えられると吠えています。全てにおいて“スピード”が極めて重要な事、強く同感致しました。

2.根性・覚悟
あらゆる局面で常にベストな選択肢から逃げずに、全てのものに真摯に向き合う。実に大切な事だと痛感しました。実例で山崎拓さんとの関係にも触れられていましたが、彼ともしっかりと本気で向き合い、結果としてはその後親しい仲になるという内容には、新谷さんとチームの仕事に対する大きな覚悟と、“根性”を強く感じました。

3.一期一会
新谷さんの人間に対する深く強い興味、そして一つ一つの出会いを大切にし、それぞれ真摯にきちんと向き合っていく姿勢にとても感動しました。人への興味を持ち続け、その人間の本質をつかみとる事により、様々な事が見えてくる。そしてその真摯な人間関係が新たなドラマを創る。結果として大きなスクープにつながるストーリーに出会う。現在の文春の成功の正に土台なのだと強く感じました。

4.感度
商売でも、経営者、現場の“感度”が低いと目の前にチャンスやピンチが現れても気付かない。そのチャンスを活かす事が出来ない。小さな現象、変化、さり気ない一言への感度の高さが極めて重要と考えます。
ショーン・Kさんがユアタイムのキャスターへ抜擢されたというニュースに対し、世間が皆「すごい」と話題になった際に、「ちょっと待て」と自身の中で違和感を感じたという、その感度。更に舛添元知事の欧州出張に5,000万円かかっているという事実から「何かあるのでは」と疑問を持つこと、新谷さんのその“感度”には心から共感しました。小さな現象や僅かな兆しに気づき、行動に移していくその実行力、自身も経営者として非常に大切なことだと共感しました。

新谷さんが書かれたことは、全て僕らの商売、そして経営にも通じることであり、色々なことを気づかされた内容でした。また、強い組織というものは決してマニュアル化出来るものではないということ、杓子定規で組織を作りあげていくのではなく、個別具体的な状況を見ながら如何にスピードを持って対応していくかということが肝要だという点にも激しく同感しました。
そして何よりも“どうなるのでなくどうする”が重要。強い目的意識を意志をもって、どんな局面でも“どうする”にこだわり組織を導く事が極めて重要だと思います。
長文となり恐縮ですが、一読者の感想として受け止めて頂けると幸いです。
私も新谷さんに負けぬよう、OBを恐れずに、“フルスィング”で経営、商売の現場で頑張っていきたいと思います。

玉塚元一
この記事へのコメント
ご紹介されたお二人のエピソードに感動しました。とても真似できないけど、近づこうと意識することはできるかもしれません。決意を新たにした朝でした。
Posted by 川原正敬 at 2017年03月17日 09:15
世の中には星の数ほど会社があり、会社の
数だけ社長がいます。
でも社長の器(良い経営者)はどれだけ
いるでしょうか。
良い人になるのは、勇気もいるし大変
なんですね。
Posted by おいどん at 2017年03月17日 10:07
宋さんに忠告します。もちろんご本人の承諾は得てのことだと思いますが、他人のメールや私信をネットで公開するのは止めた方が良いでしょう。
以前Oさんという方のメールを公開したことがありますね。小泉元総理の原発反対論の紹介でしたが、「原発の放水口は死の海になっている」という内容が含まれており、私は事実と異なると指摘しました。
発信元は(あまり知識のない)小泉元総理とはいえ、宋さんもO氏もちょっと考えれば(温排水は原発だけでない、「死の海」になっているなら反原発マスコミが騒いでいるはず、等)おかしいと気づいたはずです。
その後削除されたようですが、それがあるアーティストに転載され、現在でも読むことができます。ネットの威力については釈迦に説法のはず、自重されることをお勧めします。
Posted by H.Mari at 2017年03月17日 10:09
最近表現芸術に関心があり、良いアーティストは良い人であると思っていました。宋さんの「良い経営者は良い人である」との本質を突いた話、視野が広がり、勇気付けられました。納税の話も感銘を受けました。遠い昔、宋さんにお会いして記事にした自分の人を見る目も、間違っていなかったと嬉しかったです。お元気で、引き続きご活躍をお祈りいたします。
Posted by 森下薫 at 2017年03月17日 12:45
私は、週刊文春を、1984年の「疑惑の銃弾」連載時からずっと毎週買い、愛読しています。もっとも週間新潮もそうですが。両誌とも、論陣をはり、リスクを恐れず、主張をきちんと通す姿勢が大好きで、立派だと思うからです。両誌を読み比べると記事の真相が垣間見えるような気がして、とても有難いですね。これからも、有意義な報道を是非よろしくお願いしたいと思います。
Posted by 菅井あや子 at 2017年03月17日 14:47
早速amazonで買いました。

H.Mariさま。宋さんへの予期せぬ影響をご心配になるお気持ちはよくわかります。しかし少なくとも、今回のメールの引用(本の感想)に関しては、ご本人とご紹介者の方の許可が取れていればいいのではないでしょうか。私はあの部分を読んだことが購入の決め手になりました。問題は、許可が取れているかどうかが一見わからないという点につきるのでは。

宋さん、どこかに「掲載許可は得ています」の補足文をだされてはいかがですか。他にもご心配されている優しい宋さんファンの方々がいらっしゃるのではと思います。
Posted by R.S at 2017年03月17日 14:58
R.Sさま
コメントありがとうございました。
確かに、今回のメールに関してはたぶん問題にはならないでしょう。しかし、実際に宋さんが当該部分を後日削除しているのですから、後になってヤバイっ!と思うことは(一般論としては)ないとはいえないと思います。
宋さんは強い人なので、何があっても気にしないのだと思います。しかし、他人のメールが他者に再転載されていることまでは気づいておられないのではないかと思って蛇足ながらコメントした次第です。
Posted by H.Mari at 2017年03月17日 17:07
他人から他人へのメールを単純にコピペして、友人の著書を宣伝にし、それをメルマガで配信して「文化人」気取りですか?

いいご身分になられましたこと。うらやましい限りです。

Twitterでも、虚言癖が疑われる人間の間から出てきたいかがわしい紙に対して「完璧な物証だな、これ」とおっしゃる知性の低さ。

これまでのあなたへの信頼がすべて一瞬にして崩れました。
Posted by みんみん at 2017年03月17日 23:10
良い経営者はまた、なかなかうまく事が運ばない時も、(心の中で)あまり他人を攻める事はないでしょうね。だからきっと、前向きの 地に足の着いた反省も出来るし、より堅実な道も掴めるようになるのでは?
Posted by 末永美枝子 at 2017年03月18日 15:55
善意の方は、仕事がうまくいかない時、内心でも、人を攻める事は無いでしょう。すると、多分、もっと着実、堅実な道も見えて来るかも。
Posted by 末永美枝子 at 2017年03月18日 16:17
人の良いところを見つけて、認めている文章を読むのはとても気分が良くなります。
玉塚さんは、他の人の美点を見つけることができる人なのでしょう。そして、新谷さんは、文字にして言うのは簡単でも実際に実行するのは、難しいことを、実行してきたのだと思います。
Posted by さいとう ゆきこ at 2017年03月21日 00:46
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