宋メールの継続問題

十数年も続いた宋メールですが、ひょっとすれば来年は中止せざるを得ないかもしれません。皆様に報告するかどうかについて躊躇しましたが、万が一お別れのご挨拶ができない場合は失礼なので、急遽ご報告することにしました。

結論から申し上げると、ソフトブレーンと大株主との関係が破綻し、来年は私とソフトブレーンの関係がどうなるか分からないからです。私は現経営陣を支持しているため、大株主との敵対関係が進んだ場合、私もソフトブレーンとの関係を断たなければなりません。そうなれば宋メールの発行体制がなくなり、宋メールも中断せざるを得ないのです。

簡単に経緯をご説明します。

今年7月にある会社が、事前協議はおろか、TOB(株式公開買付け)などの手続きも踏まずに、市場からソフトブレーンの株を45.57%取得したうえ、彼ら自身が採用している会計基準である国際会計基準(IFRS)を用いるというテクニカルなやり方で、一方的にソフトブレーンを「子会社(IFRS上の)」にしました。この会社は先月までは株式会社フュージョンパートナー(以下FP社という)と称しますが、最近はスカラと社名変更したそうです。

株の大量取得の際、FP社はソフトブレーンの豊田社長に「持分法適用会社になるまで株を市場で買いたい」と説明しました。私はその情報を知った時、「持分法適用」の目的を信じて善意をもってFP社に接しました。マスコミの記者達が「珍しい敵対買収」として取材に来られましたが、私はFP社を信じてむしろ記者達を抑えたほどです。

しかし、その直後、このFP社は突然にやってきて「さらに買い進めて45%まで買った。当社はIFRSを使っているため、ソフトブレーンは当社の子会社になった」と宣告したのです。この会社が発表した取得目的も突如「持分法適用会社にするため」から「連結子会社にするため」と変更しました。

このような「潜水艦による奇襲攻撃」のような方式による企業買収に不信感を感じざるを得ませんでしたが、それでもソフトブレーン経営陣がFP社の提案を真剣に検討し、企業価値を上げるための協力関係を探りました。しかし、FP社からはソフトブレーンの企業価値向上につながるような提案がないうえ、「奇襲」による株取得に似たような、信頼を損なう行為が重なりました。

相当悩んだ末の判断だと思いますが、ソフトブレーン経営陣は正式にFP社の奇襲買収を敵対買収として認定することにしました。詳細についてはご興味がある方はソフトブレーンの正式発表をごらんください。
URL:https://www.release.tdnet.info/inbs/140120161226463211.pdf

私が経営から引退した後、リーマンショックなどもあり、上場の前から会社を支えてくれた現在の経営陣と幹部と社員達は相当苦労しました。幾多の危機を乗り越えながらも米国企業との競争にも強みを発揮し、顧客満足の向上とシェアの拡大を続けてきました。ゼロ金利を利用し、ほぼノンコストで資金を調達し、騙し討ちで企業の株を買うことは簡単ですが、多くのお客様に信用していただくことと、国際競争に勝つことは容易いことではありません。

お客様との関係を築き上げてきた経営陣と社員達の理解を無視し、借金と奇襲による企業の株取得は企業の価値を損ない、社会に何の価値も提供しないと考えます。長い間、私は株主としてソフトブレーンの経営陣と社員達に寄り添ってきましたが、敵対の大株主が資本の原理で彼らの意思を無視するようなことをした場合、私は今後のソフトブレーンに未練がなくなります。

私の愛情は常に企業内外にいる人間達(社員、顧客など)に向けるのです。箱ものの企業そのものに関心がありません。たとえその企業が私が創業し育てた企業であっても。

これが最後の宋メールかもしれないのでこのタイミングを借りて読者の皆様に心からの感謝を申し上げたいと思います。欠点とミスの多い私ですが、皆さんはよくもこんな恥ずかしい文章を十数年にわたって読んでくださいました。
まあ、こんな変なことをいう変な人も居たと考えていただければ幸いです。

皆様、よいお年を。
この記事へのコメント
宋さんが立ち上げた会社を無礼講なる振る舞いで買収するなんて、許すマジ行為です。
真実を報道する唯一のネット配信なのに・・今後が不安です。なんとか善後策をお考えを・・
Posted by 浅田和彦 at 2016年12月26日 09:31
長年にわたっていろいろな見方を教えていただきありがとうございました。(そして今後もお願いしたいのですが)実は、一度昔の会社に来ていただいたことがあります。ほんとうに、きちんとした企業活動が、単なるマネーゲームの道具にされてしまう、今の世の中に腹が立ちます。これを変えていかないと、資本主義社会じたいが立ち行かなくなります。
Posted by 伊藤紀彦 at 2016年12月26日 10:14
普段は情緒に流される日本人や日本企業を批判している宋さんが、こういうときだけ「善意」や「信頼」、「愛情」を持ち出すのに強い違和感を感じます。
先日も「国際関係は損得で論じるべきで信頼関係は調味料程度」と言い放ったばかりですよね。
宋さんの普段の言説からすれば、ルールに抵触しなければ何でもOK、違法なら訴訟を起こせばよいだけのことではありませんか?
Posted by H.Mari at 2016年12月26日 10:29
本当に残念です。毎回、宋さんの視点が斬新で楽しみにしておりました。また、今回のFP社の敵対買収ですが、事前にFP社の信用調査などで、このような事態に発展する事が予測できなかったのか悔やまれます。宋メールの読者の皆さんは誰しもネームバリューより理念やビジョンの大切さを知っていますから、FP社のやり方には強い憤りを感じていると思います。今後は違うフィールドで是非、頑張って下さい。応援しています。
Posted by 佐々木浩司 at 2016年12月26日 12:29
スカラ社とソフトブレーン社のプレスリリース、双方に目を通しました。
実際にこんなことが起こりうるんですね。企業買収などには全く疎い私ではありますが、スカラ社の行為は、これでは不誠実な輩としか見受けられません。

私は一介のサラリーマンでしかありませんが、新卒の時から先輩に教わって以来、いつも宋さんのメールを見て多くを学ばせて頂いていました。

願わくば、これからも多くを学ばせて頂きたいと思っています。
どういう打開策があるのか、素人の私にはわかりませんが…

ガンバレ!ソフトブレーン!!
Posted by H.T at 2016年12月27日 13:33
宋さん まさに痛恨の極みです。
でも村上ファンドと同じ道のお客様や社員を枠外に置き、資本効率だけを求める大資本にとっては、当然の狙う姿でしょうから、ほんとに残念ですが予想された道筋にも感じられます。

多くのお客様の声を知ったノウハウの代弁者として、多くの社員の皆さんが、社会の発展のために、お客様のために、双方向の成長を促すようなシステムを進化されてきたとお見受けしますが、大資本の意向も同じ流れであれば、今までを理解し尊重するため、今回のようなことには至らなかっただろうと思います。

自体験からも、勤めてきた1兆円企業のD社が、7兆円企業のP社に買収され、子会社から再度吸収されて消滅しました。事業は継続されたものの、双方向的BtoB体質のD社の企業風土が、一方通行的BtoC体質のP社の企業風土に、大資本の力で置き換えられた様相を呈したようで、D社がいかに経営体質を守ろうとしても、資本の効率だけを求める大資本の圧力には抗するべくもなく、軍門に下らざるを得ないのが、効率だけを求める大資本力の猛威のように感じますし、一旦脱出して再出発を諮っても、上場している限り、再買収されるのでしょうね。
資本の論理を超えて、お客様の信頼と要望、そして、それに必死で応えようとされる社員の皆様のご活躍が継続され、役立ちが発展されることをひたすら願うのみです。
Posted by 田丸 孝 at 2016年12月27日 15:23
株式会社フュージョンパートナーという会社のロゴは、ナチ親衛隊のマークそっくりですね。ネオナチ系の会社だと思います。これは大事ですよ。
Posted by 丘田真純 at 2016年12月28日 14:28
合法的な(?)詐欺ですね。宋兄、これからも応援していきます。良いお歳年を。
Posted by こつこつ at 2016年12月29日 08:05
なんでソフトブレーンのホームページに
ツイッターやメルマガが貼られているの?
会社と関係あるの?
一個人株主でしょ?
創業者で元大株主かもしれないが
スカラが買い占めて高値になったら
ずいぶん売り抜けましたよね
Posted by tt at 2016年12月29日 11:06
宋さんの企業は利益をあげてるといえども、日本国内の取引が多いので、買収しても、外貨を獲得に繋がらない。日本の政治家は、こういうマネーゲームしかしなかった。海外の外資を買収して、技術や販路を得、それを土台に販路を広げる戦略でもない。海外の方らは、そういう戦略で成長に繋がった。日本の政治家はただ目先の金しか頭になかった。
Posted by t at 2017年01月02日 09:04
新年おめでとうございます
宋さんの突然のお話し、まずこのメルマガがなくなるとのこと。ビジネスに疎い私自身が、宋さんの色々な意味での貴重な意見を聞ける機会がなくなるということが残念です。
長きにわたって有難うございました。

それと今回の買収の話ですが、宋さんのご意見やご感情もおありかもしれませんが、率直な気持ちでは、宋さんが常日頃から肯定されていた「何でもありのビジネスという世界」では、どちらが良い悪いという問題でもないようにも思います。

この世で起きたことはこの世で解決する訳でもあります。
今後の宋さんの宋さんらしい、更なるご意見の発露を期待しております。

有難うございました。

               金 拝
Posted by 金 章夫 at 2017年01月05日 08:32
大変な事になってますね。
一応、自分が出来る範囲内であちこちに働きかけて、スカラ社の蛮行を阻止出来るように手配しますが、あまり期待というか、あてにはされないでください。
出来るだけ、簡単にはあきらめないようにした方が良いです。
このスカラ社なる怪しげな企業は日本人の恥。日本人として許さない。これが、自分の考え。
Posted by 山口健二 at 2017年01月13日 02:43
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