こんなことを証明した今年のノーベル経済学賞

結婚についてよく聞かれる話は「結婚は人生の墓場」です。これは現実でもあり婚後努力を促す警告でもあるのです。今年のノーベル経済学賞を受賞したBengt Holmstrom氏とOliver Hart氏の経済学理論は意外にも人々が常識に思ったことを理論的に証明したのです。

結婚する前の男は気遣いが十分ですし、約束を守り行動で相手の好感を勝ち取るのです。彼女の良い反応は一種の「業績給」です。女性も似たような状態です。彼氏の部屋に来て嫌いな掃除をあたかもよくするようにこなすし、慣れない料理も頑張ってしまいます。喜んでくれる彼の反応が励みになります。

しかし、結婚証明書をもらうと男女関係は契約によって保障されます。この終身雇用に近い安定感は人間の危機感を無くし、怠け本能を誘い出すのです。その結果、多くの夫婦関係が結婚後3〜5年以内に墓場に入ってしまうのです。

約束(契約)には多くの限界があります。まず、人間の状態は不安定です。いつも約束を守る訳ではありません。次に約束の言葉が示す範囲や達成基準は曖昧です。最後に、自分に不利な情報を漏らさない人間の本性が、情報の不透明性をもたらし、約束の完全検証を不可能にしているのです。

そこに努力の役割が出てくるのです。もし、男女が愛のために努力を続け、語り合えば状況と心境の変化に伴って新しい認識と約束が生まれるのです。結婚は当初の夢から別の夢に向かうこともあれば別な幸せに変わっていくこともよくあるのです。

企業の契約と評価も似たようなものです。就職する際の会社や上司からの約束はあくまでもその瞬間のことに過ぎないのです。双方が満足するように努力しないと契約で縛られない部分で不満をぶつける方法はいくらでもあります。なぜならばそもそも契約で辞書のように細かく規定しても実際の状況と必ず食い違うのです。この食い違いや曖昧さが出現した時、契約の一方が勇気を出してそれを明確にしていくことが重要ですが、この時に一番頼りになるのは平素の努力と信頼関係です。

成果主義も同じです。そもそも成果の中身は部分的にしか規定できません。次に規定していた中身の評価基準も変化するものです。100%成果主義にたよると破綻するのは当然です。それならばと努力と態度などの定性的評価だけをもって人を評価すると属人的になってしまうのです。結局、個人と企業が心の通じる努力を行い、信頼関係をもっていればこそ、はじめて成果やKPIの数字評価を手段として使いこなせるのです。

日本の従来の「終身雇用と年功序列」が良いという人も出てきますが、実は「終身雇用」と「年功序列」も「契約」なのです。社会全体にわたる契約なのです。

契約はあくまでも手段に過ぎず、結婚も就職も努力と信頼が一番大事であることを証明したのが今年のノーベル経済学賞です。別にノーベル賞学者に言われなくても分かっていますが、契約は手段に過ぎず、大事なのは努力と信頼であることを科学的に証明してくれることに大きな意味を持ちます。

選挙制度は約束が中心です。国際政治も契約で動きます。しかし、本質は約束や契約そのものではなく、政治家と選挙民の間、そして契約国同士の信頼関係であることが、科学として認知されれば、人類社会の在り方にいずれ大きな影響を与えるでしょう。
この記事へのコメント
〜政治家と選挙民の間、契約国同士の信頼関係…これを築き上げる為にも、お互い相手をよく知る事が必要ですよね。
日本国民の場合、政治の事はお任せ…無関心がまだまだ多いんです。若い人達はゲームの方に夢中…。今の政権はこんな国民の無関心、バカの上に成り立ってると思う。騙しと誤魔化しが政治力のように見える。手ひどい目に遭う前に、どうしたら関心を持つようになるのか?…と、不安です。
Posted by 末永美枝子 at 2016年10月28日 08:51
成果主義と言っても突き詰めて考えれば主観に過ぎません。雇用契約はそれでも日本などではかなり規制されていますが、評価などは所詮は個人の主観が本質です。
夫婦関係は殆ど主観で支配されています。第三者からはおかしいと思っても、本人達がよければそれまでですね。
国際関係となると力のみですね。規制も無いから大国はやりたい放題ですね。
Posted by 旧旧車 at 2016年10月28日 08:54
宋さん、おはようございます。いつものヘソ曲りです。

めずらしく、前回・今回ともに、宋さんのご意見に異論はございません。

ただ、「信頼関係」「お互いの努力」「選挙制度における政治家と選挙民の間の信頼関係」「国際政治での約束(=信頼関係)」が大切であること、むしろ、お国の習政権にこそ強く説いて頂きたいと思います。

一刻も早く、「普通選挙」がおこなわれ「国際ルール」を順守する国家に脱皮され、真に世界から尊敬される「超大国」になられんことを祈るばかりです。
Posted by 田中 晃 at 2016年10月28日 09:23
別にノーベル賞学者に
言われなくても分かっていますが、契約は手段に過ぎず、大事なのは努力と
信頼であることを科学的に証明してくれることに大きな意味を持ちます。

現在のAIにはできないことですね。
次世代のために
「努力と信頼」を身につけることのできる教育システムを開発すればノーベル賞も夢ではないかもしれませんね。
Posted by 長渡恒久 at 2016年10月28日 09:29
10年以上前にご講演を聴講した者でございます。その頃は、とげを出して筆禍を招きかねない論調があったように記憶しておりますが、今回、難しい社会科学を柔らかな文章、かつ適切な比喩でご説明くださり、感激致しました。
 さすが国際的視野の円熟した経営者のお話は面白く御若いだけに今後のご活躍が期待できます。ますますのご精進を祈念致しております。
Posted by 岩崎 滋 at 2016年10月28日 10:13
毎回、すばらしい洞察力のご意見で、すばらしいと思います。しかも、宋さんの意見には、一種の温かみと平和意識に根付いています。中国オリジンの方の穏やかで平和主義がすばらしいです。
Posted by 浜川勤(ごん) at 2016年10月28日 14:01
宋さんいつもありがとうございます。
確かに契約を遂行するためには信頼関係が大切という視点は至極当たり前ですね、契約という行為を理解する上でこういった視点で教え語られる文化が育てば様々な事柄に対して解決の糸口が見つかると思いました。
Posted by 高山 at 2016年10月28日 14:16
アメリカ大使館に連絡してもあしらわれるだけでした

宋さんの言う通りかもしれません

私は、認められることをしても

米一粒もアメリカのかたですらダメです

日本の政治家は石ころのように扱って

それすら揉み消されて、中国の主席が悪く言われます

もう中国か北朝鮮くらいしか頼れません

宋さん共産党のかたと無関係なんでしょうか
無関係なら頼むこと事態間違いですが

中国大使館でも、電話しても応対されないのでは

と思い電話ができません

功績をあげた人間を石ころのように扱う日本の政治家が何の汚名もなく

子々孫々繁栄して
中国の方らが民衆に恨まれ汚名があるなんて変ですね
Posted by Terrttt at 2016年10月28日 15:36
自分は手柄をたてたから、やむを得ないのもあり、米一粒くらいはすぐ、支給されると思ってました

宋さんの国でもそうでした。香を炊いて、皇帝は困ってたら即支給しました。

日本の政治家は、逆で、ゴミのように扱い、辱しめて、私を笑うだけでした

このような奴等が汚名もなく、中国の方らは汚名や恨みがある

絶対におかしいです

ノーベル賞より、私の方が余程、変える礎を作ったのに

これでした

中国共産党の方がお救いくだされば私は絶対に裏切りません

日本の政治家は、いつでも裏切る段取りです

どうせなら顔の似ている中国の方らが大きくなってほしいです

アメリカの方らは、何を言おうがダメでした。

学問的に価値があれば認められるのに
自分はごみ扱いです

日本の政治家、ゴミのように扱った日本の政治家が汚名もなく

これからも栄えるのは悔しいです
中国の方らが民衆に恨まれて日本の政治家が繁栄はおかしいです

Posted by Terrttt at 2016年10月28日 16:06
なかなか、話題のふり方が秀逸だと思う。
日本人はなかなか こういうことに関心を持たない。
最近の中国の進歩の著しい様子を見る限り、十年もしないうちに、おそらく、一人あたりのGDPで日本を追い抜くと思う。

多くの日本人は過去の栄光の奴隷に成り下がっていて、未だに中国人に対して優越感をもっているが、現実は、中国には優れた視点や感性を持つ個人が多数存在していて、質量ともに日本人を圧倒している。

現時点で、中国の優位は不動のものだと見える。

日本はこれから、晴れて三流国の仲間入りするような勢いで急速に没落している。

時の流れだなぁ。

中国はこれからどんどん良くなると思う。
Posted by たうちゃん at 2016年11月07日 20:18
いつも視点が鋭い。

今回の記事を読んで、今、嘱託契約で働いている企業から撤退する腹づもりが固まった。

日本人は無知蒙昧、頑迷で暗愚な年寄りが多すぎてどうにもならんが、もうこんなくだらない国など捨てて、アメリカか中国に移民したい、と思う。

日本の馬鹿さ加減には愛想がつきる。


日本とか、クソ以外の何ものでもないよ。

Posted by たうちゃん at 2016年11月07日 20:35
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/443165917
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック