・変化を叫ぶリーダーは変化しない
組織のトップが変わると組織に変革の季節が訪ねることが多いでしょう。いいケースもあれば、悪いケースもあります。リーダーが本物か偽者かはこの時に見極めることができます。
変えなくてはならないことを変えないのは偽リーダーであり、変える必要のないこと、変えてはならないことを変えるのも偽リーダーです。「宋さんに言わせれば皆が偽リーダーになっちゃう」と言われるかもしれませんが、口が悪いだけではありません。
リーダーの立場になりたいという人が実に多いのです。人に身分を認知させ、リーダーであることをアピールしたい人達です。そのために無理して業績を伸ばそうとするので無駄な投資、無駄なシステム更新、そして無駄な組織拡大をするのです。
リーダーは何かを成し遂げるために組織を動かすのです。成し遂げるのに何が必要かを一生懸命見極めるのです。古くから存在しても良いものであれば有難いはずです。良くないものがあれば組織を受けとった時点で素早く変えるはずです。
格好をつけるために「変化」を叫ぶリーダーがいます。何年も言い続けるとさすが自分の言葉に飽きるのでしょう、今度は「チェンジ」に言い換えてみたりします。下手すると自分がチェンジされるまで「チェンジ」を言い続けます。
細かいことがコロコロ変わって何時になっても根本が変わらない組織はよくあります。泥を被って静かに組織の根本を変えていく目的意識の強いリーダーが少ないからです。
・強気一辺倒のリーダーは弱い
お神輿に乗るだけのリーダーは弱いのですが、強気一辺倒のリーダーも弱いと思います。若い頃、リーダーとは強い人だと考えていたのですが、経験しているうちにあれは単に強く見せようとした結果であり、本質ではないと思うようになりました。また、組織メンバーに認められていないうちに強く見せざるを得ない部分もあると思います。
しかし、長期的に見た場合、リーダーの仕事は組織を強くすることであり、自分だけが強くても何の役にも立たないことに気付きます。自分が強いことによってメンバーの智慧ややる気を削ぎ落とすことがあれば、余計にその「強さ」を隠したほうがいいのです。
強いリーダーは必要です。ただしその強さはいろいろとあります。間抜けのように見えるリーダーには、部下が安心してアドバイスするし、やり甲斐を感じるのです。そこで本当の間抜けになっては困りますが、寛容になり、奥深くなる必要があります。
松下幸之助さんがリーダーの一番重要な素質について聞かれた時、「愛嬌や!」と答えたそうです。若いうちは、特に部下に認めてもらえていないうちに強気をみせる部分があってもいいのですが、いずれ愛嬌を増やしたほうがいいかもしれません。
P.S.
偶然ですが、先日、中国のソフトウェア大手のCEOから以下のような話をききました。
「自分のことをあまりかまう人はよいリーダーにならない。生活の質をリーダーの立場とセットして考える人はリーダーではない。」
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ふとプロフィールを見たら同い年なんですね。
『自分のことをあまりかまう人はよいリーダーにならない。』 と中国のCEOの方のコメントが紹介されていましたが、高価な装飾品とかを身につけるとか、良い服を着るとか・・・そんな意味なんでしょうか?
泥を被って静かに組織の根本を変えていく目的意識ですか・・・。
まったくの同感です。
その言葉がすべてだと思います。
それができるかどうかなんですよね。本当に難しいことです。
ありがとうございました。
>間抜けのように見えるリーダー
日本にも大石内蔵助の様なリーダーは存在し、また世間の評価も高いです。しかし、彼が評価されたのは死んでからです。
企業トップがリーダーシップを評価する際に、そこまで見れることは少なく、始めは上記の様なリーダーシップを取る者も、自己アピールのうまい同僚に先を越され始めると徐々にそちらの方に流されてしまいます。
さすがに死ぬことはないのですが、その人物が会社を去ってから、彼の作ったチームが力を発揮し続けたとき、トップは「彼が作り上げたチームはこんなに立派だったのか。」と嘆くのか、それとも「もともと彼がいなくてもうまくいくチームだったのか。」と納得するかで、その会社の将来が計られるのではないでしょうか。
無論、トップになってみたら変革しなけりゃならんと気づく人もいるが、個人の生活の質や権力が目標になっている人は根本的な変革〔=生活の質などを犠牲にする可能性がある行為〕をする必要性を理解できない。
ということですね。
それに、松下幸之助さんのいうリーダーの一番重要な素質が愛嬌だというのはよく理解できないですが、良ければもう少し詳しく教えていただけないのでしょうか?
座右に置き精進してゆきたいと思います。
今後もこのような宋さんのお考えを発信していただきたいと思います。
ありがとうございました。