石油投機筋の「おかげ」

都内を移動する方ならもう気付いたと思いますが、東京の車渋滞はだいぶ軽くなりました。特に首都高の渋滞解消が顕著だと思います。

これはいうまでもなく石油高騰の「おかげ」です。インフレや金融不安から一部の投機マネーが石油や食料を不当に高騰させたのは事実です。その結果、インフレがさらに悪化し、経済が冷え込み、食料難で貧困層の生存権までを侵しています。

人間の生存権をも奪うような投機は自由経済という仮面をかぶった人権侵害であり、世界中の人々が連携してそれを阻止すべきだと思うのですが、残念ながら人々を動かしたのは同情心や思いやりではなく、市場です。

札束を燃やして走りたくないという経済理由から車を使う人が減りました。もし、石油高騰が食料などの生活必需品までも高騰させる連鎖がなければ、私は石油高騰を歓迎したいと思います。無駄なガソリンを燃やさないという動機は「高いガソリン」によってしか誘発されないからです。

100メートル先の信号が既に赤くなっているのに、またアクセルを踏む人がどれほどいるでしょうか。前の車両との距離が残りわずかになって、今度はきついブレーキを踏む。田舎者の私にはそのような運転にすぐ酔ってしまい、気分が悪くなりますが、意外とこの手の運転が多いのです。

それと電車で来ればいいのに、わざわざ車庫から車を出し、渋滞に耐え、駐車場探しに苦労して車を運転する人がいます。好きだと言われると返す言葉がありませんが、ガソリンが高くなれば何も言わなくてもその「好き」が潜んでしまいます。

世界中でも東京ほど公共交通が便利な街はないと思います。田舎に住むと自家用車がないと困るのは分かりますが、東京での移動はほとんど自家用車は要らないと思います。

北京は東京よりずっと公共交通は不便ですが、それでも所得の低い市民はそれを我慢して利用したり、自転車をこいだりします。それでも北京渋滞は東京以上に酷いです。自家用車を持つ中産階級が増えた上、役人の公用車も多いからです。
中国政府も時代に逆行して、なんとガソリンに補助金を出しているのです。これこそ火に油を注ぐ愚策です。環境破壊を助長し、投機筋に援軍を送るようなものです。

あれこれ文句を言いましたが、やっぱり早く電気自動車を普及させてほしいと思います。先日トヨタ自動車の張富士夫会長と食事した時に、電気自動車を聞いてみましたが、しばらくはコスト上の困難があるとのことです。

しかし、そろそろ発売されるプラグイン自動車の燃費は、普通乗用車の3倍以上だそうです。これは今の車台数が3分の1に減る効果ですので、ガソリン緊迫を見込んだ投機筋もそう長く強気でいられないと思います。しかし、彼らの投機がわれわれの意識と知恵を刺激し、行動を促したのです。


この記事へのコメント
小生、今は退職しておりますが、自動車会社に勤務しておりました。その時、バッテリーー自動車を作りました。その時の経験を基に言うと、バッテリー自動車は省エネにはなりません。多分、唯一省エネになりそうなのは、リチウム電池を使った場合でしょうが、希少金属のリチウムを自動車に大量に使うとどうなるでしょうか?また、リサイクルは可能ですが、そのリサイクル費用、バッテリーの寿命(大体1,000回充放電を繰り返すと、バッテリーは使えなくなります)を考え、積み替え費用を考えると、ライフサイクルのエネルギー使用では、決して省エネにはならないと考えています。この質問を、機会があるごとに(例えばモーターショーの展示会場等)で担当者にぶつけるのですが、魔物を見るような顔を去れ、質問には答えてもらえません。宋さんの人脈で答えを引き出せてもらえれば、と希望します。期待しすぎですか?
Posted by 小嶋 正 at 2008年07月25日 09:09
いつも楽しみにしています。

この2週間ほど車で遠出をしなくなりました。
意識するしないは別にして根底にガソリン価格があることは事実です。

出かける予定があると車以外の移動方法を検討します。いままでになかった現象です。

価格が市場で決まることは良いも悪いも、それ自体は良いことです。市場があると言うことは、その市場に価格を委ねるだけでなく、価格変動を利用することも可能です。
好き嫌いは別にして価格が市場で決まり、誰でもその市場に参加できることはすばらしいことです。

電気自動車の燃費は普通自動車の3倍以上だそうですが、本当でしょうか。事実ならトヨタ自動車の社長がコストを云々するはずはありません。生産ラインに乗らないということは、電気自動車にはまだ解決されない問題があるということではないでしょうか。

Posted by 藤岡一男 at 2008年07月25日 09:21
暑すぎです!

しかし、中国もなぜ補助金をだすんでしょうか?世界の流れは車社会から遠ざかっているのに。

石油というのは本当に長い旅をしてきますよね。どんな山奥にいっても石油がそこまで運ばれて草刈り機などに使われているんですから。並びにコカコーラもすごいですよね。これも田舎の山にコーラの缶が落ちたりしているのを見るとほんとグローバル化というかすっかりコーラにやられたなと思うところです。

日本だと車にのるなんて必要がないんですよね。原付バイクで十分なんですが、いかんせん道が狭く車が後ろから迫ってくると怖いのなんの。官僚には送迎車でなく原付でものらせれば道は広がるし、原付の分野も見直されるはずですよね。

あと日本の街には緑がすくなすぎです。駐車場もただ、だだっぴろい広場に線を引いただけ。地方の農学部で古い木を切り倒し、アスファルトだけの駐車場をつくっているんですから、本当にこれじゃあ何も解決しないわと思います。


Posted by あき at 2008年07月25日 09:35
投機筋のために食料の価格が上がっているという宋さんのご意見、まったく同感です。
我が社の暑中見舞いでも、その非を訴えました。
ガソリンを使わないで、投機筋や一部の資源国に一矢報いたいものです。
Posted by 上野 則男 at 2008年07月25日 09:43
「無駄なガソリンを燃やさないという」と言う点では同感ですが、必要なガソリンを燃やしている人は大変です。
また、この機会にもう一度車の将来予測を見直し、道路整備の見直し、ガソリン税の見直しを行うべきと思うのですが・・・
環境が変わったのですから。
そこまで行動を促さないのが不思議です。
Posted by 堀口 善孝 at 2008年07月25日 09:58
宋さんのおっしゃるとおりです。地球温暖化が叫ばれる中、なかなか実行出来ないのが、個人レベルでの環境対策です。ガソリン高騰は有る意味それを、個人レベルまで引き下げて促していると考えられます。しかし時期が時期だけに神様の思し召しではないかと、信仰心のない私でさえ感じる次第です。
Posted by 宮本洋平 at 2008年07月25日 10:37
いつも配信ありがとうございます
楽しみにしております

先日 親戚の伯父、伯母が集まる機会があり今のこの景気や値上がりの状況について聞いてみました
「いろいろ値上がって大変ですよね」
伯父:
「いやぁ、昔に比べりゃ今は贅沢してるんだから ちーっと凌げばどーちゅことないよ」

他伯父:
「んだな、ほしたら(そしたら)はやりのめたぼにも ならなくていいしよw」

 凌ぐ この響きは新鮮でした

家族でドラマの理想の首相はあり得ないのだからそんなの期待せず 今 できる事からやってみよう と 話し合いました

そして、夜 キャンドル(実は仏様の蝋燭)が並べられました
Posted by み〜な at 2008年07月25日 11:52
浅野史郎さんの連載コラム「病識、常識、非常識」について
東京で働く大分県民の端くれとして抗議させていただきます。今回の問題は日本社会全体の縮図として大分県教委と議員の癒着が取り沙汰されているものと考えています。大分の感覚では、教員だけでなく公務員全般に関して【コネも実力の内】という意識が広く浸透しています。要は公職というものは、特権階級なわけです。その反面公僕という意識は全くありません。
翻って不正の結果を検証した場合、質の悪い教師ばかりが現場に増え大分県の教育レベルが国内でも最低の状況にあるならまだしも別段の弊害はないと考えています。
この事は試験により資格を与えるという教員試験のあり方そのものに矛盾があるのではないかと考えます。人を教えるという行為の良し悪しがテストの点数だけで決められるならこの国は健全なはずです。
「大分県民は非常識」という言われ方は、短絡的且つ問題の本質を欠いたミクロ的な物言いではないでしょうか?
「石油投機のおかげ」ではありませんが、普段はニュースにも出る事のない大分県の佐伯市が大々的に全国へ放送されている今の現状は、事の良し悪しは別にして喜ばしい事と考えています。釣りバカの撮影と相俟って今地元はお祭り騒ぎとの事、他所であれこれ言う前に先ずは地元へ行ってみた方が良いと思います。
偏見に満ちたコメントでなく過疎や高齢者問題に苦しむ冷え込んだ地元経済の現状などを踏まえた上で血の通ったコメントをお願い致します。
地方の零細都市は官との癒着がなければ経済事態が成り立たない異常な状況にあるのですから、特にお奨めはありませんが長州毛利の飛び地、国木田独歩も愛した町へ是非おこしください。
Posted by 清松 新治 at 2008年07月25日 12:00
石油投機筋の「おかげ」。逆説的な意味で渋滞解消に役立っている様ですね。
行き過ぎた車社会を見詰直す要因になれば幸いだと思います。
しかし、この先、原油の高騰が容易に鎮まるのか、とても疑問です。
ご承知の様に、石油には燃料と原料の両面があり、中国、インドをはじめ途上国などで、両面の需要がどんどん増えてます。需給バランスを回復させるのは当分難しいでしょう。
投機資金も、こんな旨い材料を貪り尽くさない筈がありませんし。
事態を変えるには、水を低コストで分解して使う水素自動車や電気自動車が車の主役となるか。石化原料を窒素などに転換するか。または、その両方を実現するかでしょうが、いずれもまだまだ先の話です。
農産物の高騰は別の要因があるので区別した方がいいと思いますが、他の資源の多くの急騰も同じような理由によるものでしょう。
これまで、半ば資源を安値で収奪されていた国々や途上国の経済が発展し、需要を増大させただけでなく、先進国水準での一物一価に収れんする動きでしょう。
この世界経済の、まったく新しい局面をどのようにしたら乗越えられるのか。
宋さんの大胆な説を期待します。

Posted by 大手門 at 2008年07月25日 13:58
「風が吹けば桶屋が儲かる」と言いますが、今回の原油高の原因はブッシュジュニアの悪政の賜物と思っています。イラクに大量破壊兵器があると信じたのかどうかは判りませんが、世界最高の情報機関を有している国のトップとしては大バカの一言に尽きます。戦争には勝利したものの戦後処理を誤り、多くの無辜の人を殺し、自国の兵隊を10000人以上も死に追いやり、戦費を費やし、貧乏人に金を貸し、その債務を同盟国にサブプライムローンとしてを売り、トウモロコシからバイオ燃料を作ることを奨励し、世界の食糧危機に火をつけ、核兵器を保有していると宣言している北朝鮮を自らが悪の枢軸と非難したのを忘れてテロ国家指定より外すと言う。温暖化する地球環境に一顧だにしない二酸化炭素の発生量世界一の国の大統領に文句の一つも言えないで追従笑いをする総理とくれば絶望するしかないが、苦難を与えられたものが苦難のすえに進化してきたので一縷の望みもその辺にあると思い直しています。
Posted by 都田 隆 at 2008年07月25日 15:25
原油価格の高騰は先物投機だけが原因ではない。又資本主義社会においては、投機そのものは悪いものでもない。マスコミの言動に迷わされないことだ。但し、ここまでガソリンが値上がりしたならば、生活スタイルを考えるのはよいことである。公共交通機関の問題を考えるのも良いことだ。但し東京は金のかけ過ぎだ。小生の仙台でも赤字垂れ流しの地下鉄に追い銭を打って増設をしている。人口は減少に向かうのに。路面電車信奉者である小生からすると、仙台市民の地下鉄あこがれは理解に苦しむ。5年後には炭素繊維を使った軽量な電気自動車が世に出ているはずだ。大いに楽しみである。
浅野氏のコラムについて一言。
この問題は大分県だけでなく全国で行われていた。又数十年前から行われていた。浅野氏が知事を務めた宮城県でも行われていた。金額の多い少ないはあるが、有るはずだ。教育現場以外にも県職員等の昇級についても言えることである。何か大分県が特異な県のような論調であるがはなはだ認識が不足しているようだ。
Posted by 内田 克 at 2008年07月25日 15:32
 おっしゃるとおりです。
 貴重な石油を燃料として消費するのはもったいない限りです。
 今、猛暑のアスファルトとコンクリートの都市の1室でかいていますが、この太陽熱を利用できないものかと思っています。太陽発電の普及に期待しています。
 昨年、山東省で電気バイク?(電動自転車もありましたが、電動自転車とは思えない速度で走っていました。)をよく見かけました。日本では電動自転車はありますが、電動バイクは見たことがありません。
 日本でも電動自動車やバイクが普及すれば都市の空気もきれいになるでしょう。
 それに植栽が増えれば過ごしやすくなるのですが。
Posted by 金田 邦彦 at 2008年07月25日 16:03
常にサクッとした語り口で、その時その時の問題を解説する論長論短を、楽しく読ませて頂いてます。宋さんのそのリベラルな思考は、恐らく、複数の国で住んで働いた体験から来ているのでしょうね。ここロスでも、最近はフリーウエーの車が減ってきたのと、バイクが増えてきました。友人の一人は、いつもBMWのSUVに乗っているのですが、先日自転車でうちに遊びに来ました。その時、渋滞を減らすには、石油価格高騰が一番効くな。と丁度今日の宋さんと同じような事を話していたところです。自動車は、電気にしろエタノールにしろ、技術革新と経済で、どの国でもいずれ解決の方法を見つけ出すでしょうが、食料は、もっと厄介でしょうね。代替燃料は作れても、代替食料は簡単には作れません。投機筋の狙いは石油の次は食料ではないでしょうか。次は太ったアメリカ人が減るかも知れませんね。
Posted by tai at 2008年07月26日 05:35
本当に暑いです。
日本でそして世界各地で大きな自然災害が頻繁に起こっています。IT技術のお蔭でそれらの事象が即時にビジュアルで配信され、あまねく広くの人々がそれらを認識することが出来る世の中になりました。「宇宙船地球号」という言葉が大分前に唱えられました。経済政治も最早一国の境界線は無くなり、将にボーダレス 又は、グローバルという言葉が当てはまるようになりました。 我々の日々の生活も否応なしにその環境下で営まれています。
今回の宋さんの指摘は、この様な「地球号」の問題として捉え、あらゆる角度からの考察を表に出して議論し、ベクトルを形成しなければならないでしょう。
我々人間は、醜く浅はかで基本的に自分よがり(我)です。 この「我」を強制するにはこのグローバルな社会システムの利用が必要です。 原油の高騰は、投機筋のアクションでありますが、基本的な需給バランス、南北問題、地球環境問題、食糧問題、政治・経済問題等々との関連付けに於いてBetter Practice の方法を指導者はリードしていかなくてはなりません。ガソリン問題は、そのファクターとして最適かも知れません。
Posted by JIN55 at 2008年07月26日 12:05
エネルギーにかける税金は
高税率でいいかもしれないですね。
省エネの技術も加速するだろうし。
Posted by ゆう at 2008年07月27日 12:41
宋さん、こんにちは。
暑い日が続きますがいかがお過ごしですか?
北京の夏は、東京より暑いのでしょうか・・・残念ながら私はまだ中国に一度も行ったことがございません・・・。

さて今回のテーマは、いつもと違い、”溜飲の下がるようなオチ”では無くて、”タイトルで言い切りタイプ”でしょうか・・・。

ビジネス文書の基礎を教える時に良くこう言って聞かせます。サブジェクト(表題)で主旨の8割くらい伝わるようなメールが、ビジネスでは適していますよ・・・と。

その理由は、相手がどの程度のメールを毎日受信するかわからないので、メールを開封せずとも、表題で類推してもらい、すぐに返事をもらえるようにする(相手のプライオリティに応じてですが・・・)といったものです。

石油投機筋の「おかげ」というタイトルは、その点ではとても良いと思います。ただし、8割まではわからず、しかしそれがかえって興味を引いて開封させる、読ませる、本なら・・・買わせる・・・といったかんじかと存じます(笑)

あいかわらずのシンプルな語り口ながら、中身はこれまたかわらず、ストレートですね!私は事情があって自家用車を手離して10年以上になります。大事故の被害者になってしまい、運転席に座ることがトラウマになってしまったのです。(何度かは借り物で運転しましたが・・・全く楽しくありませんでした)

ですので、クルマの無い生活がアタリマエです。日常の買い物は妻子といっしょに自転車です。大物は通販、WEBで。旅行はほとんど海外(その代わり回数減りました)で、現地では基本的に歩きます。映画、食事、家族でのお遊び・・・とかは、JRと地下鉄で十分事足りています。

一方的な意見ですが、”一般乗用車”に対するガソリンの販売価格は、現在の100倍で良いと思います。煙草の価格も同様です。(私はヘビー・スモーカーですが・・・><)

対価に応じて、テクノロジーの進歩や、健康管理を促したり、代替手段の模索や、そもそもの存在意義を見直したり・・・きっかけを与えてくれることは大切なことだと思います。

石油は有限ですし、有害です。
しかし高度成長期には不可欠です。

地球で最初に舵を取らねばならないのは、産油国では無くて、先進国(利用国)でしょう。それが日本でいけないという法は無い気がします。

暑さ厳しき折、ご自愛いただき、引き続きの執筆、講演を期待しております。失礼します。
Posted by IT営業 at 2008年07月28日 14:27
ガソリン高騰で燃費重視の運転をする人が増えたのでしょうか。以前は、飛ばす人が結構居たのですが、最近は少し減ったような気がします。
このまま上昇し続けると、さらに経済運転が増えて、のんびり型の私としては、そういう点はいいと思ってます。さらに、空気も多少きれいになった気もします。これは本当に気のせいかもしれませんが。
石油高騰で、いろんな物が値上がりしています。それがいいのか悪いのか良くわかりませんが、少なくとも悪い点ばかりでもないってことでしょうか。
Posted by tmu at 2008年07月29日 23:30
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